林の抜け道 がらくた倉庫
ぼくの秘密基地
箱の中身はからっぽなのに
宝物ならいっぱい詰まってた
先月の地震以来、カメラを眺めたまま
写真を撮りたいという気持ちが湧かなかった
毎日流れる被災地のニュース
もどかしい自分
それと、ずっと不安に思っていたデジタルの世界
電力が止まった瞬間
万能の箱はまったく意味をなさなかった
PCがなくても携帯がなくても
人の手で人の足で遅くても丁寧に
時代を紡いで来たはず
便利だと思って進化するたび買い替えたデジタル機器
ふとフィルムを詰めてカメラを持ってでかけて見る気になった
古い建物で人の手の温もりを感じて
久しぶりに心から癒された
工場でスイッチひとつで制作されるものよりも
不器用でも遅くてもいい
古い建物のあちこちから
何人もの人の手の温もりを感じた
冷たいはずの機械なのに
不思議と温度を感じた
フィルムの残数を気にしながら
大切に被写体に向かう気持ちにも
わずかながら気がついた
全てのものをもっと大切に切り取っていこう