金や銀のモールに綿の雪、銀紙の天使や紙のロウソクに長靴
子供の頃、今思えばチープなクリスマスツリーを毎年飾った
狭い居間に家族５人ぎゅうぎゅうに集まって家族だけのクリスマスパーティ
料理は「てっぽうのおにく」と呼んでいた照り焼きチキン
（ももの部分がピストルに似てたから）
サンタやツリーの砂糖菓子の乗っかったバタークリームのケーキ
クリスマスが何なのかよくわかっていなかったけど
子供たちにとっては誕生日とクリスマスは１年で１番楽しみなイベントだった
いい子にしてたらサンタさんがプレゼントを持って来るんだよ
いつ？さあねえ？
今夜中には来るんじゃない？
うちには煙突がないけど
そういう場合はどこからくるの？
そうねえ、サンタさんは忙しいからねえ
きっと縁側にでもそっと置いておいてくれるよ
窓辺に立ってたらサンタさん見れるかな
トナカイのソリには鈴がついてて、しゃんしゃんしゃんと音がしたら
来たって合図なんだって
両親と居間で来てくれるかどうかわからないサンタさんの話しを
小さな弟と私はどきどきわくわくしながら聞いていた
いたずらばっかりでいい子だったかどうかわからなかったし
そのとき
縁側のほうから しゃんしゃんしゃんという鈴の音が聞こえた
私も弟も目は縁側の方角に釘付けだったけど驚いて動けなかった
ほら！鈴の音が聞こえたよ
サンタさんが来たんじゃない？ 行ってみてきてごらん！
母の号令ではっと我にかえった子供たちは夢中で走って縁側にいった
急いで縁側の窓をあけてみた
そこには綺麗な包装紙につつまれたプレゼントが３つ置いてあった
本当に鈴の音がきこえた
サンタさんは来たんだ
何度も何度も空を見上げて探したけれど
サンタクロースはもう次の子供の家に行ってしまったようでいなかった
その夜 サンタクロースのことを考えて
興奮してなかなか眠れなかったのを覚えてる
数年後、大人になって姉とその時の話しをしてたらこう教えてくれた
あれはね、小さいあんたたちをびっくりさせたくて
みんなで考えたの
あの鈴はお父さんが鈴に長いひもをつけて、縁側から居間の窓までひいて
話しをしながらさりげなく後ろ手でひっぱってたんだよ
子供の頃のクリスマスの思い出
姉のネタばらしにがっかりするよりむしろ
そうまでして子供たちを楽しませてくれた
父と母に涙がでるくらい感謝しました
よいクリスマスをお過ごしください
