8.11.2011

Radio Dinosaur chapter#05

  
 「ハイ!次の挑戦者はえ〜と、初登場だね!?彼の名前は....」

とうとう来てしまった
DJの前を通ってマイクの前まで行かなければならないのに足がちっとも動かない
DJが早く来いと手で合図している
 
そのうち放送局の人がやってきて
ぼくの両脇をぐいと抱えてマイクの前に連れてきてしまった















*昔昼寝してたら見た夢の中の物語の続きです*
長い長い昼寝の長い長いお話です^^
ちょっとおヒマで読むお時間があればmore>>をどうぞ






「優勝の望みはまだまだあるよ!さあ〜君の番だ!ジョークをどうぞ!」

...どうぞって言われたってマイクの前でぼくの頭は完全に真っ白になっていた
 
DJが今度は、早く言えと目で合図をしている
プールサイドの片側では審査員たちがうきうきと期待した顔で乗り出している
とにかくなにか言おう、なにか言わなくちゃ!
 

「あ、あの....」
「猫が蛙に、じゃない、えとその、か、蛙が庭、庭で...」
 

乗り出していた審査員たちは急にむずかしい顔で座りなおした
ぼくの後ろの列のひとたちもむずかしい顔になった

 
DJはむずかしい顔をした上あきれた顔になった
 
町中がむずかしい顔してラジオのスピーカーを見つめているだろう
(だれよりもむずかしい顔をしてたのは多分このぼくだろうけど)



 

ぼくの口は勝手にしゃべり続けている
もうぼくは体中のコントロールが制御不能になった壊れたロボットみたいになっていた

 
「蛙が、か、蛙がその...い、い、池の中に、…」

 
そのときDJがぼくにかぶるように言った
「次の曲はオールディーズのナンバーからエルヴィス!この曲はぼくのお気に入りで...」

そう言いながらさっさとレコードをかけてしまった
手ではぼくにシッシッと合図していた

当然ピンクのバッヂすらもらえなかった
ぼくは恥ずかしさで自爆しそうだった
 
 

もう帰ろう






 まだ並んでいる人たち列のわきを通る
気の毒そうにぼくを見ている人もいれば目を合わさない人も
「元気だせよ」と小声ではげましてくれる人もいる
もちろんニヤニヤばかにしたような表情も
 
ぼくはできるだけ人の顔を見ないように下をむいて歩き出した


 

長い列のわきをようやく通りすぎたあたりに白いリボン付きの靴が見えた
 
顔をあげると、このあいだの女の子が立っていた
彼女は笑っていた 
そしてぼくに近付いてきて言った
 

「すごーい、ほんとに出場したんだね」






 
 
からかってるのか誉めてるのかなんなのか
言葉の真意がわからなかったけど、彼女はなんだかうれしそうだった

「き、聞いてたの?」ぼくはまた冷や汗
「聞いてたよ。さいごのほうDJがしゃべっちゃうから聞こえなかった」
彼女は無邪気にいう
なんでもないことのように

「あ、あれは最後までしゃべれなかったんだよ、真っ白になっちゃって...」
やめとけばいいのにぼくはわざわざ言い訳をした

彼女はそんなことなどどうでもよさそうだった
「で?バッヂはもらえたの?」

「も、もらえるわけないよ!」
やっぱりからかってるつもりなんだろうか

 

でも彼女はやっぱり笑っている
うれしそうに
 
 

そして言った
「今日ね、町のなかで自分と同じ年くらいのひとを観察してたの
そしたらね、ピンクのバッヂつけてないの私だけだった」

「いまもうひとり見つけたってわけ?もしも今日ぼくがバッヂをもらってたとしたら?」とぼく

彼女はやっぱり笑いながら言った
「そしたら、明日わたしもあの列に並んで、ピンクのバッヂをもらいにいかなくちゃ」

 

どういう理屈だか
そういえば小さいころも、こんな感じだったような
しかし相変わらず名前が思い出せない
名前くらいはきいた方がよさそうだ(おさななじみってことはあとで気づいたことにすれば)
 
ぼくはちょっとしらじらしく切り出した
「そうだ、きみさ...」
 

同時に彼女も言った
「ああいけない、もうこんな時間!いかなくちゃ!バイバイ楽しかった、またね!」
そういうなりあっという間に彼女は行ってしまった
 

その夜はバイトだった

もう客のほとんどがピンクのバッヂをつけていて
ときどき、今日は残念だったな、まあまだチャンスはあるさ、くよくよするなよ、とか
なぐさめられたけど、意外にも昼間のことでもうぼくは落ち込んでいなかった
 
よく考えたらたかがラジオのジョーク大会じゃないか
(でもそう言ったらまたこの間みたいな目にあいそうだったから言わなかったけど)

 
それよりも昼間の彼女のことが気になっていた






 
to be continued















※これは私が高校生のころ、昼寝をしていて見た夢の中の物語です
主人公は高校生くらいの男の子でした
ちょっとオールディーズ風の知らない町の知らない男の子 

この男の子の目線で夢物語は展開しました
へんな話しで今でもその光景を思い出せます
起きてすぐにメモをとり
これまた長い長い間かかって文章にまとめたのですが
それが今頃になって出て来たのでアップしてみました
乱文、散文はお許し下さい

しかも続きも気まぐれにアップするつもりなので合わせてお許し下さい^^;






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